レディースネットワーク・21 H18調査研究報告
 『木質ペレットストーブ普及を生かした山村地域活性化調査報告書』
 第1部 調査研究報告


4 ペレット生産者への調査


(1) 調査方法

 広島のペレットストーブで使用しているペレットの大部分は岡山県にある銘建工業(株)〔販売は真庭バイオエネルギー(株)〕で生産されたものです。そこで、販売元の真庭バイオエネルギー(株)にペレット普及への課題や今後の可能性について聞き取り調査をしました。


銘建工業(株)のストーブを囲んで
(H18.11フォーラム会場にて)


(2) 調査結果

 @真庭地域での取り組み

 真庭バイオエネルギー(株)は岡山県北部の真庭市にあります。真庭地域は林業地帯で、地元の美作檜は全国的なブランドであるとともに、この地は西日本有数の木材集積地です。
 1992年に地元企業家や各方面の若手リーダーにより研究活動組織“21世紀の真庭塾(現:NPO法人21世紀の真庭塾)”がつくられ、地域・資源・暮らしが一体となった、住民が誇りを持ち次世代につなげる地域づくりめざして、【町並み・景観の保全と再生】、【循環型地域社会の創造】を主要テーマとして様々な提言実践を行っています。また、現在真庭市もバイオマスタウンとして様々な取り組み行っています。
  
 【循環型地域社会の創造】には、地域資源である森の恵みを生かすことが欠かせません。真庭バイオエネルギー(株)と真庭バイオマテリアル(株)では製材所で発生した端材や削りかすなどの木質バイオマスをエネルギー・高分子材料・素材などとして様々な利用技術を開発実用化しています。


 
Aペレットの生産過程(銘建工業(株) 集成材工場)




 
Bペレットストーブの課題

○ペレットストーブの購入者層
 現在、ペレットストーブの購入者層は、ペレットストーブより高額な薪ストーブや暖炉からの買い替えが多くなっています。安価な灯油ストーブからの買い替えは、一部の環境に関心が高い人に限られているようです。


 また、ペレットストーブ(器具)は安くなるか?ということですが、
  現ストーブ価格(x)×販売台数(y)=売上額(z)
  低価格ストーブ価格(x’)×売上台数(y’)=売上額(z’)
z’>zにならないと、製造メーカーは低価格ストーブの開発販売はしないと考えられます。

○ペレットストーブ管理者の意識(公共施設、事業所)
 真庭地域の公共施設や学校にペレットストーブを寄贈したところ、施設の利用者には好評なのですが、日常管理をする方には、灰の処理、点火・消化時の管理が面倒に思われたこともありました。


 
Cペレット利用の可能性

○農業用ペレットボイラー
 農家の現状は燃料費≧農産物収入であり、燃料費を下げる=増収となります。
 真庭地域では、今年新たな取組としてペレットボイラーで加温栽培したイチゴにバイオマス燃料利用をエコマークシールで表示し50円/パックを上乗せて販売しました。取扱いはふるさと市場等の対面販売所で、贈答用のみとし説明書を同封しました。その結果、問い合わせやリピーターがあったとのことです。
 
 ◆課題
 農業用ペレットボイラーの価格低下
 燃費の向上


 
D国・県への要望

○自立した(補助金に頼らない)システムの構築
 ペレットストーブやボイラーの導入に直接補助を行う方式だと、補助制度がなくなるとその後の普及が滞りがちです。
有機栽培農産物シールのように木質バイオマス利用野菜のシールを作るなどバイオマスの利用が付加価値になるようなアイデアの提案実践や情報提供などの援助が望まれていました。

○環境への意識・関心を高めるための施策
 ペレットストーブの購入者は環境への関心が高い人が多いので、ペレットの普及のためには、まず環境に関心を持ってもらうことが重要です。
 例えば、各家庭の光熱費のチェックできるチェックシートを作成配布し、家計から環境に関心を持ってもらうなど、手軽にみんなが参加できる方法が要望されました。

 森林活動(LNによる森の玉手箱から)


例)光熱費のチェックシート

(3) 考察

 
・ペレットストーブ

 現状では低価格化に見合った販売量が見込まれないと、低価格のストーブの開発販売は難しいと予想されていました。そこで、一般市民が必要とする機能や構造、購入可能な価格等を把握してストーブ製造メーカーに情報を提供するとともに低価格のストーブを共同で開発をする必要があります。
 また、使用者に木質バイオマスの利用による付加価値が実感できる仕組みを作ることが、ペレットストーブの普及につながるとも考えられます。

 視覚的な温かさを持つペレットストーブ


 
・ペレット

 手軽にペレットを手に入れられることもペレットストーブの普及には重要になります。
 ガソリンスタンド・ホームセンター、森林組合などでも取り扱うようにできれば、ペレットストーブの普及にも効果があると思います。また、農業用ボイラーにペレットボイラーを利用するようになると、農協での取り扱いも視野にいれた普及ができると思います。
 
 真庭地域では、一企業の努力だけではなく地域として地域資源を活用したいという思いが感じられました。それでも、学校や公共施設にペレットストーブを設置した場合、管理者の関心が低いと多少の手間が疎まれる場合もありました。
 ペレットストーブの普及には、地域+そこに住む個人の両方の環境への関心が必要です。
 各地域で活動し、様々な人に会う機会の多い私たちは、様々の情報を伝えること、いろいろな方面で活動している人を結びつけること、多くの人に環境への関心を持ってもらう働きかけをすることができます。そして、ペレットストーブ使うことが暖房器具を選ぶ際の選択肢の一つにできる状況にすることができればと思います。

 銘建工業で作られたホワイトペレット



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