〜 活動報告 〜

第7回 森林の仕事を語るシンポジウム
森林の恵みを活かす〜



 
平成19年3月6日(火)に、林野庁と東京南青山会館にて「森林の仕事を語るシンポジウム」を共催しました。

 今回のシンポジウムでは、「森林の恵みを活かす」をテーマとし、地域で活躍している女性をお招きしてご講演を頂いたあと、3班に分かれて意見交換を行いました。また、ワークショップでは、森林の恵みの活用や地域を活性化するための方策を模索し、また、健全な森林の育成を図るため林業技術職員として果たすべき役割は何かを議論しました。

ご講演の内容と、ワークショップの様子をそれぞれご紹介します。

ご講演要旨 

    藤野珠枝氏(一級建築士、森林インストラクター、環境カウンセラー)

 1級建築士として設計・監理に携わるかたわら、森林インストラクター・環境カウンセラーという資格も持ち、建築・森・環境の3つを専門として仕事・活動をされています。10年以上前、郷里で住宅設計の仕事を請け負った時、「山から木がでていないから地元の木は使えない。」といわれ、「こんなに山には木があるのにどうして?」と思ったことから森林と関わるようになったそうです。

 地元の木が使われない理由、使うためには何が必要かといったことを、建築の立場からご意見を頂きました。また、ご自身でも「北信濃・森の仲間」という手入れの遅れた人工林の整備をする「山仕事」の活動をされている中から、木材を使うための工夫を紹介していただきました。

 また、LNの会員に対しては、まず、自分が携わっている地域の森について、樹種や林道までの距離等を知り、木が建築になるときにどう使われるかを知ってもらいたいとアドバイスを頂きました。

 女性は、何かに夢中になったり、悩んだり、仕事が忙しかったりしても、「今日の晩御飯何食べよう」「天気がいいから気持ちいいし花を買って帰ろう」といったことを思えるところが良いところで、これはいろいろなことをつなぐ役に向いているそうです。 「まず知り、そしてつなげる役目をし、次につながる仕事をしてほしい」「女性には『つなげる役目』を期待する」とのメッセージを頂きました。

 

○遠藤寛子氏(飯伊森林組合勤務)
 飯伊森林組合に勤務され、イベントの企画や情報の発信、ホームページ、森林管理委託事業などの普及事業を担当されています。

 遠藤さんが森林組合のイベントを企画する時のキーワードは、「地元を活かす」と「林業」とのこと。飯伊森林組合が持つ、昼神温泉の宿泊施設を中心に、裏山を利用して都会の人をターゲットに温泉+山遊びを提案しているそうです。これまでに開催したイベントは、魚のつかみどりや、雑きのこ狩り、植林や枝打など多岐に渡ります。講師には地元の組合員さんにお願いすることもあり、地域の人材を発掘し、職員や地域の人たちにも参加して頂いきたいとのことです。

 イベントは、「遊ぶ」から始まって、「知り」「考え」「行動する」というふうに展開していきたいとのこと。現在は温泉を中心とした、「遊ぶ・見る」イベントが多いですが、徐々に、地域の森を「知って」いただき、地域の材を「使う」ことについても考えるイベントへと展開していきたいとの展望を語っておられました。

 また、森林所有者への働きかけとして、森林管理委託事業について話して頂きました。昨年から始めた事業で、20haまでは無料として巡視を行い、必要な場合には別途作業を提案するそうです。「山が遠い」「管理の仕方がわからない」「足腰が弱ってきて自分では山にいけない」といった方々の山への思いをなんとかしたいと思い、地区懇談会なども開いた結果、1年を経過して117件770haの契約を頂いたそうです。

 県の普及職員に対しては、 「地域の問題や良さを吸い上げて頂きたいと思っています。良さを活かすのはなかなか難しいことです。人や技術を今後どのように活かすか、地域の森林計画を立てている皆様にも考えて頂きたいのです。」とのこと。県の普及職員は「地域の総合コンサルティング」として、そして遠藤さんたち森林組合の方々が現場で、それぞれミュニケーションをとって頑張りましょうとのメッセージを頂きました。

○曽根原菜穂子氏(上伊那森林組合勤務)
 上伊那森林組合に作業職員として就職して4年、毎日男の方と一緒に現場に入って仕事をされていらっしゃいます。上伊那森林組合は比較的年齢構成が若く、20−30代が多いとのこと、曽根原さんも始め30代の先輩について作業を教えてもらったそうです。

作業班では、間伐・枝打など1連の造林作業を行っているとのこと。伊那谷は松くい虫対策の事業がかなり多いそうで、去年は半年間松くい虫対策として伐採・玉切・くん蒸処理を行ったそうです。「森の恵みを活かす」というテーマに関して、簡易製材機を紹介して頂きました。これは長野県から借りられるもので、作業班員の方々と試行したそうです。

「女性だからできること、できないことは何か?」という質問に対しては、生理中は仕事ができないということを挙げられました。特別休暇をもらうなどの待遇をしてもらっているそうです。しかし、仕事内容については、「今できない」であって「女性だからできない」と考えないようにしているそうです。

「この仕事に就いて4年目で、ようやく人並みに仕事ができるようになってきたところです。私ができないことはたくさんありますが、女性だからできないと考えるとそこで進歩が止まってしまいます。山の仕事は総合的なもので、できないこともあるけれどできることが必ずある。それが良いところだと思っています。」とのメッセージを頂きました。

「今できないことをしたい」と思った時、周囲の人が「この人にこれをできるようにさせていこう」という合意形成(チームワーク)が必要で、未熟だけれどもやらせてくれる環境があるのは幸せなことで、女性が働くにはそういう環境が必要だと考えているそうです。

ワークショップの概要

ワークショップでは、3班に分かれて意見交換をおこないました。

A班:テーマ「都市から見た森林の恵み」

 A班はまず、「森林の恵みとは何か?」と考え、環境機能・山崩れを防ぐ水源涵養機能など多々ある中から、木材の利用は都市住民にとって直接触れ合えて効果的であるため、県産材・国産材を活用するにはどうすればよいかという点に絞って討論を行いました。

 「県産材・国産材は」外材との比較、性能・価格など、違いがわからず、良さが消費者にわかってもらえていない、需要に対応できる生産システムが構築されていないといった問題があります。

 解決策としては、情報を消費者に提供する、工務店や建築士とのコミュニケーションを活発にする、公共事業や学校へ木の建築物を造る、環境をキーワードに付加価値を付ける等が挙げられました。

B班:テーマ「農山村からみた森林の恵み」

B班は、森林所有者からの視点で議論を進めました。「経済的」な効果からCO2の固定などの地球環境への貢献、技術の伝承、森林を施業する技術まで多岐にわたる「森林の恵み」を検討しました。

掘り下げていくと様々な森林の恵みが考えられるけれども、その恩恵を受けるのは容易ではなく、行政に取り上げて活かしていくには、森林所有者の意識を向上させる必要があるとの結論に達しました。

C班:テーマ「女性の森林との関わり方」

  女性が山の中で働いて困ったことや、仕事の内容、森林の仕事に就いたきっかけと仕事に就いてからのギャップ等、参加者自身の経験を交え、意見交換を行いました。

森林・山のイメージが良かったから、小さい頃に家族と山に入って、楽しかった、ゆかりがある地域で仕事をしたい、等様々な思いがあります。女性でも、山仕事をしたい人が仕事に就けるよう、情報を共有することが大切です。 

※当シンポジウムについては、3月に発行された「林政ニュース」第313号でも、「地方のトピックニュース」の一つに取り上げて頂きました。